今CMで「♪思考回路はちょっと転職」なんて歌が流れています。
お盆休みに帰省した時、何人かのそんな思考回路に入った友達からアドバイスを求められました。
その時に友達に話した事や後でメールで送った補足など、実体験を生かした転職のポイントについて、この機会に何回かに分けて、文章にまとめておきたいと思います。
第1回は転職活動に入る前、自身のキャリアと転職理由の洗い出しについてです。
私の転職歴
まず、こういう話題を書く私の転職歴がどんなものか書いておきたいと思います。
私は現在の会社が3社目で、以前に2回の転職歴があります。
1社目は地方の中堅IT企業で5年程在職しました。
そこから東京の一部上場企業に転職し、おおよそ3割年収がアップしました。
東京本社の勤務を3年程続けたところで、家庭の事情で関西圏に戻る必要が出たため、現在の会社に社内SEとして転職しました。
年収は2割ほど下がりましたが、先述の家庭の事情のため時間的なゆとりを優先する必要があり、残業が少なく土日もしっかり休める点で納得のいく転職でした。
そんな転職歴から、今までにもそれなりに多くの人から転職に対する相談を持ちかけられています。
転職を思い立ったら一番に準備すべきもの
先に書いた通り、私の過去2回の転職の内1回目はステップアップ目的、2回目は勤務地や時間的余裕など家庭の事情優先と目指すものは正反対ですが、どちらの場合も考えた事や取った行動は同じです。
いきなり転職のための具体的な動きに入りたい所ですが、それをグッと押さえてまずは自分のキャリアとスキルの棚卸しを行います。
色々と書き出していくため、まずノートを買いましょう。
志望動機や自己アピールなど、面接時の受け答えの準備・トレーニングも兼ねて、これから色々と書き込んで行く事になります。
「PCに打つのではなく実際に書き出すこと」「思い浮かんだことはとにかく書く」と「紙やシステム手帳ではなく綴じられたノートを使う」事がポイントです。(理由は後述します)
まず考えるべき10の事柄
それでは、準備したノートに下記1~10を順番に書き出していきましょう。
1.なぜ転職したいのか、前向きな理由
→もっと大きな規模の仕事をしたいのか、給料をアップさせたいのか、それとも休日を重視するのか、今と全く別の仕事や業種でスキルを生かしたいのか、人によって重視する所はバラバラだと思います。
面接の受け答えのキモになる部分ですが、今の段階ではそこまで掘り下げなくても、自分が今回の転職において一番重視するのは何かをハッキリさせておくレベルでも大丈夫です。
もっとも重要なこのプロセスを肉付けするために、次の項目以降の事を考えて、最後にはここに戻ってきますので。
2.なぜ転職したいのか、今の環境に対する不満
→これは転職ハウツー本の多くで、面接でのNGワードNo1として上げられています。
NGワードであるという事は、すなわち面接時、攻められてはならない自分の弱点ともいうべき部分です。
だからこそ、面接でストレートにしゃべってしまわないように、前向きな理由に置き換えられるように、今の段階で掘り下げておく必要がある部分です。
感情的にならないように、客観的に紙に書き出していきましょう。
3.本当に転職しなければならないのか、今一度冷静に考える
→ここまでの段階で、転職についてプラス思考とマイナス思考の両方から考えました。
「1」と「2」で洗い出した転職したい理由を、今の会社で改善できる余地はないのか、本当に転職しか道がないのか今一度考えましょう。
面接で転職理由を話した時「今の会社でやりたい仕事ができるような努力や工夫はしなかったのですか?」のような聞き方をされる事がありますが、その答えへの考えの整理にもなります。
何より、ここを良く考えると、転職しなくても今の環境でやりたい事を実現する方法はあった事に気づいたというのも非常に良くある話です。
4.今の会社のいい所
→それでもこの「4」に来たという事は、転職を固く決心した方とお見受けします(笑)
それでもあえて、今の会社のいい所や去るには惜しい所を書き出しましょう。
これは思いとどまるための物ではなく、「今、いかに充実した環境に身を置いているか」を洗い出すプロセスになります。
「今の充実した環境を捨てなければならない程、転職したい理由」
面接官の方の心を揺さぶると思いませんか?
もちろん、やはり転職が惜しくなるくらいいい環境だと再認識したなら、今の会社に留まるのも大いに有りです。
転職には「今よりも悪くなる」というリスクもあるのですから、それを認識しておく事はとても大事です。
5.これまでにやった仕事
→どんな業務についていたのか、どんなお客さんを担当したのか、何人くらいのチームだったのかなど、今までの仕事を客観的に洗い出します。
今までに会社や部署、業務を変わっている場合には以前の物も含めて、これまでの職歴のすべてを書き出します。
ほとんどの場合、履歴書と合わせて「職務経歴書」も書くことになりますが、その準備という側面もあります。
自分視点であまり思い浮かばない場合、自分自身だけでなく部署・チームの業務に広げて考えてみましょう。
属する組織の仕事全体を客観的に見ると、その中であなたが担っていた役割が客観的に見えてくる場合もあります。
それに直接の担当業務でなくとも、組織の中で間接的かつ無意識にあなたが貢献していた部分も見えてくるはずです。
6.本来の仕事プラスアルファの貢献
→前のプロセスでは今までの仕事を客観的に洗い出しました。
今度は逆に、自分主観に視点を変えます。
前の「5.これまでにやった仕事」で書き出した事を踏まえて、本来の担当職分以外であなたが会社に貢献した事を洗い出しましょう。
そこまで大げさなものでなくても、しかるべき窓口が無かったのであなたに転がり込んできた仕事、自分の仕事以外で同僚を手伝った事といったレベルでも構いません。
たとえば「宴会部長」なんてのも立派な組織への貢献ですよね。
7.仕事で変えたこと、変わったこと
→自己PRの定番、「自分が改善した事、提案した事」があればベストですが、思い浮かばなくても悲観する事はありません。
会社や部署で大きな変化に直面したことはありませんか?
例えそれがいい変化でなくても構いません。たとえば顧客から契約を切られたというマイナスの事柄でも、その中であなたはきっと最悪の事態を避けるために工夫して奮闘し、何かを学んだはずです。
8.印象に残っている失敗
→面接では案外よく質問される項目です。
誰しも失敗はあります。隠す必要はありません。
大事なのはあなたがそこから何を学んだか、どう自分のプラスに変えたかです。
9.仕事で特に心掛けていること
→仕事におけるポリシー、大げさに言うと「哲学」となる部分です。
お客さんとの信頼関係なのか、それとも社内の人間関係を重視するのか、だれにも負けない商品知識を身に付けることなのか、人により職種により異なると思います。
ポイントは「自分が得意なこと」ではなく、「特に重視している事」です。
10.自分の長所
→ここまで来てやっと、本当なら一番に考え始めたくなるこの事柄に手を付けます。
いきなり自分の長所から考え出すとなかなか思い浮かばず、ハウツー本のようなありがちなフレーズばかりが出てきがちです。
しかしここまでの1~9で書き出した事を踏まえて考えてみると、日頃自覚していなかった物も含めて、オリジナルなあなたの長所がきっと沢山出てくるはずです。
転職に向けて次にすべきこと
いよいよ始動…と行きたい所ですが、その前に。
もう一度戻って、ここまでにノートに書き出した事を見ながら改めて前の項目の1~10を掘り下げてみます。
一度目であまり出てこなかった項目も、きっと前よりスムーズに出てくるはずです。
転職活動の際、色々な角度から問われるのが「なぜ転職したいのか、前向きな理由」です。
しっかりとした前向きな転職理由が埋まるまで、何度も考えを掘り下げましょう。
何度考えても自分で納得いく理由が埋まらなくてもガッカリする必要はありません。
次回以降に別の方向から掘り下げる方法がありますので、この先へと進んでいきましょう。
ただ、自分の力だけではもう出てこないという限界まで考え抜く事は大事です。
なぜノートなのか?
最初に3つのポイントを書きました。
・PCではなく実際に書き出す
・思い浮かんだことはとにかく書く
・紙やシステム手帳ではなく綴じられたノートを使う
PCでは書き直せてしまい、恰好いい事しか残らなくなる恐れがあります。
格好悪い事や目を背けたくなる事も含めて思い浮かんだ事を全て書き出し、ありのままの自分と向き合うことが深い自己分析につながり、ひいては満足の行く転職先選びや面接対策の武器になります。
では紙やシステム手帳でも同じという気もしますが、それでは一部だけが無くなるかもしれません。
ここからの転職活動で、考えたことの全てを一冊のノートという形に残し、振り返ったり掘り下げたりしていきます。
ではこのノートを手に、いよいよ転職に向けて動き出しましょう!
次は仕事と転職活動の両立方法について書く予定です。
→仕事と転職活動の両立方法を書いた続きはこちら。