さて、「自分でNASを作る」のはいいとして、その中に入れるのは大事なデータ。
撮りためた写真などお金に替えられないものも沢山あるので、それを本当に自作NASに委ねても大丈夫か、十分に検証を行う必要があります。
FreeNAS自体は間違いの無い物だと思いますが、なにせ構築・運用する人(私)のスキルに大きすぎる疑問符。
しかも当然ながら、何かあった時の解決は自己責任。
トラブルが起こった時「こんなはずではなかった…」と肩を落とすことが無いよう、ファイルサーバ用の部品一式を買う前に、期待通りの動作ができるか十分な事前検証を行う必要があります。
そんなわけで、まずはVMWare上にFreeNASをインストールし、トラブルを想定したいくつかのシナリオで検証を行ってみました。
以下、使用したバージョンはFreeNAS8.3になります。
検証1:RAIDボリュームの復旧
RAIDボリュームを構成するディスクの一つが故障した時に、ディスクを交換すれば問題なくボリュームが復旧するか、その時データは全て無事かを確認します。
1.FreeNAS上で仮想ディスク4台を使ってRAIDZ1(RAID5の改良版)でボリュームを作成し、別マシンからZドライブとしてマウント
2.Zドライブにテスト用として、10GB程度の色々な種類のファイルを保存
3.比較用に、Zドライブ上全ファイルのMD5値を出力
4.そのままの状態で、VMWare上からRAIDZ1のボリューム(Zドライブ)を構成するディスクのうちの1台を削除!(ディスクが壊れた想定)
5.ディスクが1台無い状態でも、Zドライブ上のファイルの読み出しとZドライブへのファイルの書き込みが出来る事を確認
(もちろん、読み書き速度のパフォーマンスは著しく低下している)
6.FreeNASをシャットダウンし、VMWare上で元と同容量の仮想ディスクを作成(代わりのディスクを買って取り付けた想定)
7.FreeNASを起動、Webコンソール上から「6」で作成した仮想ディスクでRAIDのボリュームを復旧(買ってきたディスクでRAID復旧!)
8.Zドライブのパフォーマンスが元に戻った事を確認
9.再度Zドライブ上の全ファイルのMD5値を出力
10.「3」のMD5値(ディスク故障前)と「9」のMD5値(ディスク交換後)を比較した結果、両方のMD5値が一致する事を確認
1~10の結果から、RAIDボリュームのディスクの一つが故障した場合にも、データへの影響が無い事を確認しました。
検証2:FreeNAS再インストール時のRAIDボリューム再読み込み
今回、FreeNASのシステム領域は二重化しないつもりです。万一システム領域が潰れた時、新規インストールしたFreeNASから元のRAIDボリュームが読み出せるかを検証します。あわせて、FreeNASの設定のバックアップ・リストアも検証します。
1.Webコンソールから、FreeNASの設定をバックアップ
2.FreeNASをシャットダウンし、VMWare上からシステム領域のハードディスクを削除(システム領域が壊れた想定)
3.VMWare上から仮想ディスクを作成
4.「3」で作成した仮想ディスクに、FreeNASを新規インストール(交換した新しいハードディスクに再度インストールした想定)
5.「1」で取得したバックアップファイルをFreeNASに読み込み
6.Webコンソール上で「ボリュームの自動インポート」を行い、RAIDZ1のボリュームを再認識
7.別マシンから、RAIDボリューム内に保存していたファイルが無事である事とディスクの読み書きが問題なく行える事を確認
1~7の結果から、FreeNASのシステムが破損した場合にも、RAIDボリュームは保持されている事を確認しました。
検証1、2の結果から、特に心配していた事象にはFreeNASの機能で対応できる事が確認できました。
(※検証1、2それぞれの詳細な復旧手順は後日別の記事にする予定です。)
しかも全てWebコンソール上から操作可能なので、オペレーションミスで取り返しがつかない事になる心配も少ないです。
安心して、FreeNASをファイルサーバとして導入する事が決定しました。
次回はいよいよ、部品選定~組立です。