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書評

トランプ思考~知られざる逆転の成功哲学【ブックレビュー】

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いよいよ、ドナルド・トランプ氏の米大統領就任の日が近づいてきました。
発言するたびに物議をかもすような過激な言動や、これまでに政治経験が全く無いながらこの地位に辿りついたという経歴など極めて異色な人です。
そんな彼の真の姿に迫るべく色々な本が出ていますが、やはりその考え方を知るには本人の書いた物が一番良いだろうと思い手に取ったのがこの本「トランプ思考~知られざる逆転の成功哲学」です。
しかしこの本を読み終わった後、かえってトランプという人のことが余計にわからなくなってしまいました。

けっして読みにくい本だったとか、内容がムチャクチャだったというわけではありません。
語り口も軽妙でメッセージも一貫していて、むしろ非常に読みやすい本でした。

「日本のメディアが報じないトランプの「別の顔」が見えてくる本」

カバーに書かれていたこの言葉がこの本の内容を端的に表しています。
そう、「別の顔」があまりにも意外すぎたのです。


この本は、トランプが自身のブログやニュースレターのために書いた記事を中心にまとめたエッセイ集です。
彼自身が「成功に通じると信じている思考プロセス」が主なテーマになっているとの事で、ビジネスについてのノウハウではなく物事の考え方や取り組む姿勢について書かれています。

特に印象に残ったフレーズを本書から引用しながら、感じた事を以下に書いてみる事にします。

「前に進む勢いさえあれば、問題は一過性のものにすぎない。」
「だから不屈の意思は絶対に必要である」
「ある人から自分を天才だと思うか、とたずねられた。イエス、とあえて答えることにした」

読む前から予想していた通り、勢いを重視し自信に溢れたイケイケな論調が文章の大部分を占めています。

「私は起業家だが、チームプレーヤーとして行動できる能力は大切だと常々実感している」

独断専行、さらに言うと独裁的とすら捉えられている人物ですが、組織全体で物事にあたるチームプレーは重要と考えている旨が何度も書かれています。
ただ、先の即断即決のくだりでもあったように、自分とは合わなかった人の実例も何度か挙げられており人物の好き嫌いは激しいように感じられます。

「恐怖心を問題解決の姿勢と自信とハードワークに置き換えよう」
「仕事を愛していたし、昔からハードワーカーだったからだ」
「私と競争したい人間は私のペースについてこなければならない」

ハードワーキングを信条としている事と即断即決を重視している事が表現を変えつつ、非常に多く書かれています。
特に即断即決については一緒に働く人間にも特に重要な資質であると考えているそうで、それが出来ないならたとえ優秀な人物であっても自分の元では働けないとも述べていました。
政権の人選も間違いなく、その点を重視しているものと思われます。

そして特に意外だったのがこの点。

「成功への道筋を入念に計画するのは目標達成の確実な方法であり、このアプローチはけっしておろそかに考えてはならない」
「失敗や過ちを犯したら、それは理性や客観性を用いる良い機会かもしれない」

まるで思い付きのような発言が目立つ彼ですが、物事を進める上で十分な計画と地道な準備が必要で、そこに大変力を入れている事についてはハードワーキングや即断即決と同じかそれ以上の頻度で語っています。
とかく自分の意見を押し通すイメージが強いですが、障害にぶち当たった場合には一度引いて別の方法を考える事も大事である等、冷静な考え方も多く語っています。

本書では「問題解決」というキーワードが頻出します。
考えて考え抜く事で物事の問題点を見つけ出し、それを解決していく事がビジネスを進める上での要諦であると考えているようです。

「私はどちらかといえば人に優しくありたいと思う。そのほうが物事はうまく回る」
「そして結局わかったのは、ビジネスマンとしての人格に傷があってはならないということだった。信用できる人物だと思われれば、一緒に仕事をしたいと思ってもらいやすい」
「すでに自分は多くを持つ身だと考え、品位を損なわずにいよう」

就任式のボイコット表明者増加が報道されている昨今。
ここに至るまでの彼の舌禍の数々を見ると、もはやネタなのではないかとツッコみたくなるような文章もいくつかあります(笑)

「ビジネスの取引をアートの一形態だと考えている」

「儲かるビジネスは最高のアートである」というアンディ・ウォーホルの言葉が大好きだそうで、書中で幾度となく引用されています。
ビジネスはアートであるが故に自らの手がける建築物も細かい部分の材質に至るまで手を抜かないのだといった記述など、完璧主義的な面も見る事ができます。
政治に対しても同じ考えであるのか興味のある所です。

「トランプ思考~知られざる逆転の成功哲学」を読んだ感想

著者があのドナルド・トランプという事で、とてもセンセーショナルな本を予想(期待?)していました。
しかし、成功した経営者が書いた本として読んでみると実にオーソドックスな内容が書かれた、至極全うなビジネス書です。
そう、本当に普通な内容なのです。肩透かしをくらったと感じるくらいに。

日頃の過激な言動がパフォーマンスなのか?それともこの本に書かれたビジネスマン然とした一面が建前なのか?
最初に「この本を読むとトランプという人のことが余計にわからなくなった」と書いたのはそれ故にです。

先入観無しにこの本の内容だけから判断すると、即断と勢いを重視した強気さが身上でありながらも、思索と計画を重視する冷静さも併せ持ったビジネスマンという著者像が見えてきます。
災害やリーマンショックなどのように自分ではどうにもならない状況に直面した場合には、諦めるべき所は諦めて流れに柔軟に身をまかせ、臨機応変に考えることが重要であるとも述べています。
(もちろんそんな状況でも、自分の信念は持ち続けなければならないとも書いていますが。)

日頃の言動からは粗野なイメージを抱いてしまいますが、勉強することや歴史に学ぶことの重要性を強く説いており、チャーチルを始め多くの偉人の言葉を教訓として引用するなど知的な一面も垣間見えます。
その言及は孫子や孔子まで及んでいて、実際にかなり幅広い分野に知見があるようです。
(彼曰く、「孫子」はビジネス書としてぜひ読んでおくべき本であるとの事)

ここ日本では、思い付きと勢いに任せた人物であるというイメージが非常に強く、取り上げられるエピソードもそれを裏付けるようなものばかりです。
それ故に多くの人が、彼の大統領就任後アメリカが、そして世界がどうなるのか非常に不安に見ています。
ですがビジネスの世界で成功を収め、90年代の大きな挫折からも復活するなどの実績は押しの一手だけで実現できるものではありません。
案外現実的かつ柔軟な策も取るのではないか、そんな気がしています。

この本は元々、2010年に出版された本を改題し再発売した物です。
出版当時は単なる一個人の意見でしかなかったはずが、今日となっては非常に深い意味を持って迫ってくる文章が最も終盤に書かれています。
「アメリカは孤立主義者になってはならない。アメリカは超大国ではあるかもしれないが、その真に意味するところはそれだけ重い責任を担っているということだ」
彼のスタンスはとにかくアメリカの利益を第一義に考え世界の警察的な立場を否定するなど孤立主義的なものであり、それ故に予想以上の支持を得る事に成功しました。
2010年に書かれたこの文章と全く相反する現在のスタンス。
彼はどのような方向にアメリカの舵を切っていくのでしょうか。
良くも悪くも、世界はしばらく彼を中心に回る事になりそうです。

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